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「え、でも…悪いよ」
「でも口君一人で、ここから自分の家まで道わかるの?」
迷っちゃうよ?
そう言われ、俺が何も言えないのを蝮は肯定と受け取ったらしい。
俺の床に置いてあるリュックを勝手に奪って、暗くならない内に帰ろうと言った。
「ほら」
ここに来た時と同じ様に手を引かれる。
きっと少し強めに握っているんだろう。
俺の手が少し赤くなっている。
「お邪魔しました」
「うん。また来てね」
玄関を出て、木々を抜ける。
全然聞けなかったし、ちゃんと話せなかった。
しかも恋人宣言をされた訳で。
でも、というか、その恋人という響きは全然嫌ではなかった。多分。
だんだんと俺の家に近づいて来ると、蝮はポケットから一切れの紙を俺よりに差し出した。
「はい、これ」
「…?これは…」
「僕の携帯の番号」
「えと、ありがとう…あとでかけてもいい?」
「うん!」
「…蝮は、俺の事ほんとに好きなの?」
「うん。好きだよ。口君だけだもん…僕を拒絶しないで受け入れてくれたのは…だから、ずっと一緒にいたいな…あ、でも、ちゃんと学校では近づかないから安心してね。僕なんかといたら噂になって大変だよ」
その言葉は、蝮とは思えないような静かなトーンで発せられた。
彼もさみしいのか。
俺と少し似てるね。
なんて、そう言ったらただの同情に聞こえるかもしれない。
でも、俺は蝮といるのが今より好きになりそうなんだ。
だから
「…あのさ、蝮」
「ん?」
「学校でも俺と会ったら話しかけて欲しいな。後、あの不機嫌な顔じゃなくて、今みたいに楽しそうな笑顔の方が俺は好きだよ」
するとピタリと足を止めて此方に振り返る。
「…いいの?話しかけても」
「いいよ。だって恋人なんでしょ?」
「恋人…それもほんとにいいの?」
「蝮から言ってきたんじゃん。俺達恋人だねって。…冗談だった?」
軽く笑いながら言うと、蝮の耳が少し赤くなって、顔は下を向いた。
「冗談じゃないけど…口君から言ってくれるとは思わなかった…」
「じゃあ今から俺達恋人だね」
「うん…うん!口君、口君…」
好き。好きだよ。
そう言いながら抱きついてくる蝮に、少し可愛いと思った。
「口君…可愛い…帰したくないなあ…」
チュ。と、急に俺の首にキスを何回も降らすから、少し慌てた。
「ま、蝮。まだ暗くないし、人に見られたら…」
「ふふふ、ほんとに可愛い…。そうだね。じゃあまた今度しようね」
「こ、今度…」
頬が熱い気がする。
次は俺が赤面する番なのか。
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