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「全然待ってないよ。早いね、急いで来たの?…あ。口君、そこ、歯磨き粉付いてるよ」
「え、どこ?取れた?」
「ううん、まだ取れてない」
俺の口元を拭こうと、少し屈む蝮に先程のキスを思い出して、その伸ばして来た手を掴むんで阻止をして、自分でゴシゴシと拭く。
「口君?どうかした?」
「いや…恥ずかしくて…」
「?……ああ。さっきの、ちゅー?」
俺の真似をする蝮はクスクスと笑うが、俺からしたら公共の場でキスなんて恥ずかしい。
「笑わないでよ…」
「ごめんね、口君が可愛くて」
なんて反省も皆無な蝮はさりげなく、手を繋いでくる。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
歩幅を合わせてくれながら歩いてくれる蝮は、前を見ずに俺をずっと見てる。
…むず痒い。
「…前見てないと転けるよ?」
「うん」
「…俺なんか見て楽しい?」
「楽しい!」
「なるほど…いや、転ぶと危ないから前見て下さい」
ぷに。と、蝮の頬を押して前に戻す。
「…あ。そっか、手繋いでるから口君も転んじゃうね」
「俺は別にいいんだけど…てか、蝮って手繋ぐの好きだよね。手フェチ?」
くにくに繋いでいる手を動かして弄る。
すると、蝮は嬉しそうに笑って、手フェチって何?と聞いて来た。
蝮ってよく笑うなと、ふと思う。
というか、笑わない蝮は見たことがない気がする。
学校のあの蝮は除いて。
まあ、蝮が好きで笑っているなら別にいいが。
「好き?」
「何が?口君?好きだよ?」
「違う。ごめん、主語がなかったね。さっきの話の続き。手の事だよ」
「手ね…うーん…そうだな…手ってさ、あんまり食べる所無いんだよねー…だからそんなに好きじゃないんだけどさ」
「……へー、食べる所無いんだ…」
思わず手のひらを見つめる。
「繋ぐのなら好きだよ。他の人間なんて死んでも嫌だけど、口君と繋ぐのは好き。だって口君とこうやって歩いてても触れるし、距離も近くなるしね」
口君は?
好き?
なんて言われれば、好きだとしか言いようがない。
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