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僕達はリビングのソファに腰掛けた。
必死に話すことを纏めようとしたが、纏められるような過去ではなかった。
知らぬ間に体の震えていたのだろう、隣に座っている緋絽が黙って手を握ってくれた。
「えっと、多分長くなるよ?」
「うん。大丈夫。」
こういう時だけ優しくなるんだよな、こいつ。周りから人気ある理由がわかった気がする。
「僕は生まれてからすぐに親に捨てられたんだ。つっても元々父親は誰か分からないんだけど。」
「どういうことだ?」
「決まった相手がいないだらしない女だったそうなんだ。金も無かったから水商売やらないと生きていけなかったらしいし。まぁ、僕も引き取られた親戚から聞かされたから本当かどうかは分からないけど。
捨てられた後、僕は親戚に預けられた。始めの人達は優しくて幼稚園にまで通わせてくれた。でも、不慮の事故で、2人とも……。
その後預けられた人達は僕が幼稚園は途中で辞めさせられた。それは仕方ないと思い、諦めがついた。でも、2、3か月したら夫婦の仲が悪くなっていった。原因は僕らしく2人とも僕にあたるようになったんだ。それでも1年ちょっとは我慢できたんだ。だけど、まだ幼かった僕がそれに耐えることは簡単じゃなかった。
だから……逃げたんだ。」
「逃げた?」
「うん。まぁ、家出ってやつかな。って言っても元々僕には何も無くてさ。夜になってお腹空いてもお金は無いし、売るものも無いしそんな知識さえ無かった。おまけに冬だったもんで凄く寒くてさ。でもそんな状況でもさ、家に帰ろうとは思わなかったんだよなー…。」
「なんで?お前まだ小2?くらいだろ。耐えれたのか?」
「うーん。まあ、正直きつかったんだと思う。それでも家に帰るなら死んだ方がマシだって思って。まあ結局その日のうちに金稼ぐ方法を覚えちゃってさ…。それから金に苦しむことはなくなった。」
「ちょっと待て。金稼ぐ方法って…?」
「緋絽も薄々気づいてるんじゃない?」
多分、緋絽は僕が昔何をしていたか気づいてると思う。
初めて交わった時、恐らく緋絽は僕に対して違和感を感じていた。
「っ………。身売り、してたのか?」
「うん。毎日毎日違う男の相手をしていた。まあでも1ヶ月くらいしたらある人に拾われて。
それからは毎日違う人とってのは無くなったけど。小3からは学校にも通わせてもらって結構充実してたんだ。」
「なぁ、そのある人って、誰……?」
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