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怒涛の1日目
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黙って聞く俺を一瞥し、少しの間をおいてから真正面からまっすぐ俺を見た。
なんとなく今ので結弦と宗介の関係性が見えた気がして、少し目を細める。
「宗介はちょっと過去に色々あって…そういうのに敏感っていうか…。ここ最近は落ち着いてたから俺も油断してた。
こう言ってはなんだけど…赦してあげてほしい。宗介も後悔してると思うから」
「……………いいな。お前ら」
「え?」
思わずこぼれた言葉に、結弦が頭を上げた。
結弦が親友のために本気で謝っていると言うのに、なんだかすんなり受け入れられない。
「羨ましいよ。お前らのそういうとこ。
俺は……かっこつけて自分を隠してばっかだから」
「なんでだよ。東は? 東と仲良いじゃん、獅子原」
「あれは……東が優しいだけで、俺は東のこと何にも知らねえんだ。だからこんなこと言うのも結弦が初めてだよ」
「…っ!」
「あ……」
結弦がひゅっと息をのんだ。
まただ。
俺はまたよけいなことを言ってこいつを困らせている。
「いやごめん。今の…」
「あ、彰!!」
「は、ハイ!」
「…には俺がいる…から。…………だ、大丈夫」
予想外の反応に目を瞬く。
すると、自分で自分のことが恥ずかしくなったのか結弦がチッと舌打ちした。
「ぶはっ…ははははっ」
「わ、笑うな! てか言わせんな! ズルいんだよ獅子…あ、彰は!!」
「ズルいってなんだよ。俺何も言ってないぜ?」
「うるさい黙れ!! さっき完全にキョドッてたくせに!」
「あ! それ今言うか? 悪かったな、こんなヘタレで。大体おまえのあのバカ親友が悪いんだろー!」
「ッッ!! ご、ごめん…」
「あーうそうそ! 今のナシ! だからもうしょげんなって、な?」
「う、うん…」
またしょんぼりモードに入る結弦の頭をポンポンすると、キラキラした目で見つめられた。
な、なんだ?
「い、今の…宗介みたい! もっとやって!」
そう来たか。
「はいはい、よしよーし」
「へへへ……」
やけに素直だな…。
いつものツンツンはどこいった…?
もう吹っ切れたのか?
すると結弦の細い眉がぎゅっと寄った。
「何ブツブツ言ってんだよ」
「あ…もとに戻った」
「なんだよソレ。意味不明」
不機嫌顔に戻った結弦の頭をわしゃわしゃとかき回す。
「へへ…」
単純なのかそうでないのか…。
気がつけばさっきの不満はどこへやら。
俺もいつのまにか結弦と一緒になって笑っていた。
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