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紅く(湊)...2
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病院に着くと、
夏希はすぐに縫われることになって
手術室へと運ばれていった。
一度も、俺の呼びかけに応えることはなかった
この状況をお母さんに伝えようと
ポケットに手を伸ばしたときに、
―ヴーッヴーッヴーッヴーッ
マナーモードにしておいたスマホが
震えだした。
「…もしもし」
『おお、湊。
取り調べ、終わったぞ。
お母さんには警察が連絡をしたって。』
「そう…」
『お前、大丈夫か??』
「ああ、」
『…ったく、まぁ、休めよ。』
「渚も。」
―ツーッツーッツーッツーッツーッ
「…っく」
夏希を守るって約束したのに。
あんなにも、「大丈夫」って繰り返して
嘘ばっかじゃないか。
「…ひ、ぅっ」
夏希。夏希。夏希。夏希。
どうして??
もう自分は傷つけないって
約束したのに…
どれだけ、俺が泣いたって
手術中のランプは
夏希の左手を染めた、その色を連想させる
どす黒い紅に輝いたままで。
「なんにも、してやれない…
なんに、も…して、やってない…」
夏希が笑うのも、泣くのも、苦しむのも、
喜ぶのも、怒るのも、全部。
夏希の感情の全部。
守りたかった…
もう、守れない…
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