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想いの重さ(湊)...2
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―サァァァァァ。。。
「雨…」
そういえば、ここ最近空を見上げたり
天気を気にしたり…
そういうの、なかった気がする。
―カラカラカラ
「湊〜!おかえり!!
オレ、もう帰れる?!!」
「だーめ。もうちょっと入院。」
「そっか…
そういえば、オレどこ帰ればいいの?
湊んち?」
その一言と、寂しそうな顔で
お母さんと俺は息を呑んだ。
そういえば、俺の記憶しか残っていない夏希は
どこにいるのが正解なんだろうか?
「夏希は、どこにいたいの?」
お母さんが優しい笑顔で尋ねる。
“母強し”というけど、それは本当だな。
さっきまで、ただぼーっとしてたのに
今はいつも通りの姿で。
「オレがどうしたいか?」
「そう。夏希の好きなようにしなさい。」
「母さんのとこ、行ってもいいの?
何にもわからないのに?面倒じゃない?」
「大丈夫よ。ちゃんと教えるから。
あなたは、私の大事な息子なの。
記憶すっ飛んだくらいじゃ捨てたりしない。
わかった?」
「うん。ありがとう、母さん。」
何この、良い話。。。
夏希のお母さんは、優しさの代名詞のようで
俺は、ちょっとだけ羨ましくなった。
俺の母さんは、
俺の記憶が全部なくなってしまったのなら
同じように愛してくれているのかな?
反抗期にはきついことも言っただろうし、
愛想つかされても仕方ないこともした。
それでも、ここまで育ててくれたんだ。
家に帰ったら、母さんと父さんに
『ありがとう』っていってみようかな。
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