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蘇る(湊)
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エレベータのボタンを押して、
独特の上に上がる感覚を感じる。
夏希がいる階に着くと、
エレベータの中でも聞こえる夏希の声。
「助けに行かなきゃ!!!
殺されてたらどうするんだよっ!!!」
固まってしまった。
裕翔の記憶が戻ったんじゃないだろうか、
と思ったからだ。
殺されてるかもしれないのは
凪斗だろう。
ー扉が開きます。
「夏希。」
俺の姿を見て、
夏希を抑えていた看護師さん達は
明らかに安堵の表情を浮かべる。
「湊!!!
オレ、見たんだ!人が殺されるところ!!
助けに行かなきゃ……!」
「夏希、ただの夢だよ。きっと。
ちょっと怖い夢見たから
現実に思っちゃっただけだよ……」
ごめんね。思い出して欲しくないんだ。
笑っていて欲しいから。
あと、思い出した時に
どんな風に反応されるのかが怖くて。
前は、思い出せなんて言ったのに
自分勝手でごめんね。
夏希の今の笑顔が好きなんだ。
苦しいのに笑ってるかもよりも、
今の心から楽しんでるこの顔が好きなんだ。
だから、思い出さないで。
お願い。忘れていて。
「夏希、部屋に戻ろ??」
「でも……」
「チョコケーキ持ってきたんだ。
いらない??」
「いる!!!」
「よかった」
笑うんだ。
例え、夏希を騙す事になっているとしても
俺が忘れてしまえば、
裕翔の記憶はただの事件で終われる。
だから、騙すんだ。
夏希。
こんな俺でも嫌いにならないで。
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