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進むための後退(夏希)
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「ん……」
明るい、ってことは朝??
それになんだか安心する…
湊の匂いがする、ような…?
「んぅ…なつ、き?
おはよぅー」
匂いだけじゃなかった!本人いたっ!
「お、はよう」
「夏希、やっぱり話してもいいかな?」
何が、なんて分かっている。
オレの過去の記憶の話。
「記憶なら、いい。聞きたくないし…」
そう。聞きたくない。
夢を見た。怖い、怖い夢。
湊に突き放される、知らない人に追い詰められる。
夢で終わらせたい。
現実だった、なんて知りたくない。
「話させて。
夏希が思い出した時に、パニックにならないように。」
「や、だ。」
首を振って、拒否する。
それなのに……
「あのね、夏希。
本当はもう、別れてるんだ。俺たち。」
電気が走る。
突き放されたのは、本当だった…
あぁ、オレはこの人が居れば幸せなのに。
湊さえ笑っていてくれれば、幸せなのに。
記憶を失くしている、今。
唯一の知っている人。
「じゃあ、もう、来なくていいよ。」
出来るだけ、笑顔で。
寂しいのも、辛いのも、悲しいのも、苦しいのも、
全部、隠して。
湊から見えないところに、オレの感情全部、隠して。
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