アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
なにかがおかしい(渚)
-
――プルルルル...
また湊だ。心配かけてるよな。申し訳ない。
けど、出れない。そんな余裕がない。
『い゛っったぃ…やめっっっあ゛っ』
『センパイ、大好きっ!』
『センパイ、助けて…なんでこんな…』
『んっっっぁ…はぁ…
きも、ちぃ…もっとぉ…っあ』
『ぉえっ…あぐっっ…ゲホゲホっっ
ひっぁ…やだっもう無理ぃ!!!!!』
頭に張り付く、声、声、声。
全部、裕翔くんの。
可愛い声も、苦るしそうな声も
全部、全部…綺麗なんだ。
ああ、まただ。
遥紀の記憶に飲まれそうになる。
綺麗なわけ無いだろ…
そんなことあるわけ無いだろ。
――プルルルルル
センパイっ?!
「もしもし…センパイ、」
『あっ!やっと出てくれた。
ホントに気にしてないからさ、もっと頼って。
僕に相談したり、弱いとこ見せてよ…』
優しいんだ。俺の恋人になった人は。
「そんな、かっこ悪いじゃん。」
『かっこ悪い、渚くんでも好きだよ?』
猫なで声ってやつだ。たまんない。
さっきまでの嫌なことも、この人のお陰で忘れられる。
「センパイ、好き。大好き。名前で呼んでいい?」
『いいよ。呼んで。』
「敬語やめていい?」
『うん。むしろやめて。』
「今度、抱いてもいい?」
『………それは、ちょっもぅ』
「ねぇ、智紀センパイ。抱いてもいい?」
『………抱いてください 』
ああああああ、かんわいい!!!
お陰で、明日も学校に行けそうだ。
連休も今日で終わりだし。
「智紀センパイ、おやすみ。また明日、ね」
『うん。またねー』
電話を切ると、やっぱり虚しくなってくる。
「恋人を、自分の嫌なこと忘れるのに使うとか…
遥紀と一緒じゃねーかよ。」
あぁ、また。
裕翔くんの声に埋もれる。
助けてやりたいと思う反面、
腹の底をふつふつと煮えたぎる
加虐心。
嫌だ。俺は遥紀じゃない。違うはずなんだ。
けれど、もう知ってる。
遥紀の記憶が多分全部、頭の中に詰まってる。
俺は、遥紀の生まれ変わりだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
131 / 193