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なにかがおかしい(湊)
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「おはよー、渚っ!」
ビクッと驚く渚。休みの前より、随分縮こまっている。
「あ、ぉはよ。。。」
「大丈夫?なんか…変。」
「だ、大丈夫!ちょっと疲れてるだけ…」
「そう?」
疲れてるだけにしては、顔色が悪い。
風邪を引いてるだけにしては、思いつめた表情をしている。
どう見たって、おかしい。
こういう時って、無理矢理でも聞き出すほうがいいのか
そっとしておくのがいいのか、いつも悩む。
どっちのほうが渚にはいいんだろうか…
「渚くん!!!」
教室の扉の近くから、渚を呼ぶその人。
忘れもしない。
この前、俺がぶつかった渚の想い人だ。
「渚くん、僕のこと嫌いっ???」
ドシドシ音がなりそうな歩き方で渚に近づくと
俯いていた渚の頬を掴んで上を向けて
開口一番がこれだ。
「や、あの。智紀センパイここで…?」
「答えて!!」
「あ、の…センパイ」
「答えてくれないなら、僕帰らないよ?!」
わーお…大変。修羅場感…
「…………お、れだって」
「渚?」
「俺だって、大事にしたいんだよっ
夏希も智紀センパイのことも!!!!
なのに………
あいつが。。。遥紀が邪魔してくるっ!
『この子の悲しそうな顔みたい』とか
響くんだよっ!!!!
裕翔の声がずっとずっとずっと…!!」
「な、ぎさ…」
「も、嫌なんだよ…
助けて…誰でもいぃから…」
初めて聞いた、渚の涙声。
智紀センパイ(?)は、優しく笑う。
「渚くん、渚くん。」
「なにっ…も、見んなっ…」
「誰でもいいの?助けてくれる人。」
「…っっ」
「ねぇ、渚くんは僕のでしょ?」
わーお…このセンパイ、口元笑ってるのに
目が冷たい。。。
「ねぇ、僕頼ってって言ったよね。
気にしてないって言ったよね?!」
「…はい。」
今度は渚に抱きつくセンパイ。
「僕以外に縋るの?」
「センパイっっ…」
「ねぇ。僕に縋ってろよ。」
「っっ…智紀センパイ、すき。」
そこまで言わせると、
センパイは満面の笑みに変わって
「僕、渚くんに何されても平気だから。
辛いときは辛いって言ってよ。」
そうやって言った途端、
渚はセンパイに抱きついたまま、
小さな嗚咽を漏らしながら泣いていた。
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