アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
普通(夏希)
-
『ほーら、裕翔くん?』
「ん゛っ」
『夏希、ほらこっち見て?』
「や…」
――まただ。
遥紀センパイと…誰か。
パニックにならないようになったけど、怖いものは怖い。
「……き、なつき、夏希」
ゆっくりまぶたを開ける。
さっきまで昼だったのに、もう日は落ちてきていた。
夕焼けで…
窓から差し込む光に湊が照らされて…
―前もこんなことがあった?
―ズキン…
「っく…………」
「どした?!夏希??
頭?頭痛い??」
背中をさすりながら、心配そうな顔をする。
また、心配させてるなぁ……。
「湊。大丈夫。いつもよりかは、痛くない」
そう言うと少しだけ、安心してくれた。
けど、痛いものは痛いから何かに縋ってたくて
湊にしがみつく。
そうしたら、きつく抱きしめ返してくれた。
―安心する。湊に守られてるなって嫌なくらい感じる。
『お前だけは死なせない。』
あ…
『俺をもっと頼ってよ』
あぁ…
『大丈夫。大丈夫だよ。あれは渚。遥紀じゃないよ』
湊の声がする…
『ばいばい、夏希。』
そうだ。
そうだった。
『もう関係ないし、どうでもいい。』
湊が謝っていたのは、この事だったんだ。
「湊、オレこそ勝手なこと言ってたね。
嫌いになれなんて言ってごめん。」
「…夏希?」
「壮介から、助けてくれてありがとう。」
「…夏希っ?!!」
「でも、確かにどうでもいいは言い過ぎだよ。
ちょっと傷ついた。」
頬を膨らませて、湊を見つめる。
湊は目に涙を溜めながら、笑ってる。
「忘れちゃってて、ごめんね。
ただいま。湊。」
全部。全部。思い出した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
143 / 193