アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
そうだよね(湊)
-
俺ら三人は、
学校にギリギリ間に合うバスに乗ることは出来た。
けど、夏希のことを考えると間に合わないだろう。
バスも遅れるしね。
―プーッ
開いたドアの、足元を見る。
少し大きめの段差が2つ。
夏希には辛いだろうか?
「大丈夫?抱っこしようか?」
「だいじょーぶっ!でも、手貸して」
先に一段登って、ふざけて手を出す。
「お手をどうぞ、姫?」
オマケにウィンクすると、
後ろで渚が「おえぇぇ……」とあからさまに嫌な顔をする。
対する夏希は、赤くなって、恐る恐る俺の手を握る。
俺が両手を持って、渚がこけないように背中に手を添える。
少し時間がかかってしまって
「すみません。」と車内に言ってから
入り口すぐの優先席に夏希を座らせる。
渚が夏希の隣、俺が夏希の前に座って
完全包囲だ。(なんか、極悪犯追い詰めるみたいw)
学校での授業や、先生の話を少しして
学校のバス停に着くと、乗るときと同じ順で夏希を気遣って
ゆっくり降りる。
―パタンっ
走っていくバスを横目に引っ掛けて、
夏希の歩けるペースにあわせて歩く。
バス停から歩いて角にくると、学校のチャイムが聞こえる。
ちなみに、本鈴だ。
遅刻の連絡をしたのはやっぱり正解だった。
校門のレールを跨ぐ前に、
隣を歩いていた夏希は一度両足を揃えて止まって
ふぅーっと大きく息を吐く。
緊張しているの?
そうだよね。俺も緊張する。
久しぶりの学校。
久しぶりに夏希と居れる学校。
空気は冷たいけど、耐えなくていい。
だって、俺には守りたい人がいるから。
ちゃんと、守るよ。
寂しい思いなんてさせないからね。
そんな思いを込めて、夏希の背中に手を当てる。
その上に重なる、渚の手。
俺らは、きっと同じ思いでレールを跨いだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
170 / 193