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そうだよ。(湊)
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「あはははっ!」
「ねぇ、聞いて日和くん!現文の河崎の癖知ってるー?」
「なになにー?」
笑ってる。
夏希が、笑ってる……!
俺は、ずっとこの顔が見たかった。
……見てるこっちが自然と笑っちゃう、この笑顔。
「日和くん、カレシがガン見してるよー」
「えっ?!」「はっ?!」
「俺、そんなに見てた?」
「うん、むっちゃ見つめてたよ。」
「湊どうしたの?なんかあった?」
「んー、何にもないよ」
「日和くんがかわいかったんだよねー」
「そうだね。夏希はかわいいよ。」
言ってから、気づく。
何だ、このかなり恥ずかしいノロケ…
もちほん、場は盛り上がるわけで……
ヒューヒュー、冷やかしが聞こえる。
「み、みな…みなと…」
夏希はワナワナしてるし、これはこれでかわいいし。
キスするわけには行かないし、
抱きしめるわけにもないから、
頭を撫でてやると、夏希は幸せそうに笑って
俺の手首を持って 頬を擦り寄せる。
その光景を見てか、女子の黄色い声(?)が上る。
「ふふっ」
なんだか、満足そうだ。
俺は、夏希の苦しいのを代わってやれないし
もっと、もっと、いいやり方だってあったかもしれない。
けれど、1年生のあのとき。
窓枠から身を乗り出した夏希が、ゆっくり傾いて
外に落ちていくんだ。
『怖い』とか『死んだらどうしよう』とか
全くなかった。
ただ、生きて欲しくて。
苦しい中でも、もがいてもがいて生きていて欲しくて。
あわよくば、俺の腕の中で笑ってくれたらなって
その夢ももう叶って。
あぁ、幸せだって。
数歩先で、数人の男女と談笑している
愛しい人のその背をぼんやりと眺めていた。
午前8:10。
もうすぐ、授業が始まる。
それから、午前の授業と昼食を平穏に暮らしたのち
――5限目 全校集会
学校という集団社会のなかで、
俺たちが最も恐れていたものがあらわれた。
裕翔が死に追いやられたことの、理由の一つにもなっている。
――差別によるイジメ。
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