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一抹の不安(湊)
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――ギィー
体育館の扉が開く。
そこにたたずんでいたのは、夏希をレイプし
警察に捕まった。
壮介だった。
集会が始まって半時間が経った頃、
急に聞こえたバイクの音に全校生徒がざわついた。
そして、この状況だ。
「せんせー、おはようございまーす!
ねぇねぇ、裕翔くんはどこー?」
…なんで、裕翔の方を呼ぶ?
少し疑問に思ったけど、止まっていられない。
夏希の方へ行く。
クラスの夏希の周りにいてくれた子は
夏希を隠すために動かなかった。
名前を呼びたいけど、呼んだ声が聞かれたら
壮介はこっちにくるだろう。
せっかく普通に戻りかけてるんだ。
夏希を、もうかき乱さないでくれよ…
「や、やだ…み、なと…助けて…」
縮こまって、耳を必死で塞いでいる夏希を見つける。
良かった。
何もなくてよかった。
「夏希、大丈夫?来たよ。」
きつく、きっと苦しいだろうってくらい抱きしめる。
そっちのほうが、守られてる感じするかなって
理由はそれだけ。
夏希のすぐ隣にいる人たちが
俺に目配せをしてくる。
『大丈夫?』『どかないから』『落ち着いて』
そんなところかな。
ちょっとすると、とも先輩と渚がくる。
そして、二人も夏希を抱きしめる。
「夏希、落ち着け。大丈夫だ。みんないる」
「夏希、僕もいるからね。今度は守るからね」
「夏希、大丈夫。大丈夫。
俺もみんなもいるから、息だけ整えて。」
夏希は体を震わせて、意識を失いそうだった。
「…怖い。や、だ。いなくならないで…」
そのか細い声を三人共がちゃんと聞いて、
頷く。
―――キィィィィィイイイイン
マイクの音…
舞台には、壮介。
「みぃーつけたっ!」
全員がこっちへ寄ってくる。
夏希を守ろうとしてるのか、壮介が怖いのか…
「みんなさあ、おかしいと思わねぇ??
同性愛だぜ?」
マイクを通して話し始める。
「気味が悪い。学校から出てってくれ」
マイクを通した言葉が胸に刺さる。
――おかしいのなんか分かってる。
それでも、好き。大好き。
でも、言葉はちゃんと刺さって痛い。
痛い。
俺だけじゃない
たぶん、渚も、智紀先輩も、俺も、夏希も。
いつも心の隅っこのほうで
『この人は本当に自分でいいのか?』
『もしなにかあっても、自分を選んでくれるのか?』
そうやって不安になって。
でも、いつだって目の前にいる夏希は、
俺を頼ったり、
俺の名前を呼んで笑ったり、
そういう度に『あぁ、いいんだって』安心する。
気味悪く思い人もいるかもしれない。
でも、俺らはなにも間違ってない。
夏希が好きなのは間違いじゃない。
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