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ひととき……?(湊)
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「………」
「…………」
夏希、なんで智紀先輩行ってから何も話さないの?
さっきまで、ヘラヘラ笑ってたのに。
あぁ、なに?俺なんかもう嫌になっちゃった?
もしも 夏希に他の好きな人ができたら
潔く身を引こう。とか考えてたんだっけか
前は…………前は、ね。
もう渡してやらない。離してやらない。
俺の、って。
前に 考えすぎて夏希を苦しめてから、俺も素直になろうって
そう思ったから。
「夏希?」
こっちを向く。
そうだ、さっきまで下ばっかり向いていた。
「どうしたの、体調悪いの?」
「ううん、元気、元気!」
乾いた笑顔が帰ってくる。
……なんだよ。先輩にはあんなにも笑いかけてたくせに
俺には心からの笑顔さえ見せてくれないのか。
「楽しい?今日」
「楽しい、よ?」
ぎこちない。俺らってこんな関係だったっけか。
「俺は、楽しくないよ。」
「ぇ…」
驚いた顔が返って来る。
『かっこ悪い』とかどうでも良くなっていた。
口から出てきてしまう想いを抑えられなかった。
「今日、一回だって俺の隣を歩いてくれていない。
それに!智紀先輩といる時は笑うくせに、
俺と二人っきりになった途端 笑わなくなった。」
「…ごめん」
「なに?!俺が嫌になったなら、そう言えばいいだろ?」
畳み掛けてから、気づいた。
言い過ぎだ。
案の定、夏希が俺を睨んでくる。
「なに、嫌になったって。
それはこっちのセリフだよっ!」
は?なんで。俺何にもしてないじゃん。
「なんで、なんにもしてくれないの?!」
「…へ?」
「湊は、キスして満足?
付き合ってすぐの日には、
オレのこと抱こうとしてたくせにっ!」
まって、まってくれ。
これじゃあ、まるで…
「オレ、ずっと…湊がいつ抱いてくれるんだろうって
そればっか…気になってっ!
今日も、見てるだけ、なのにっ
心が痛くって…!」
あぁ、俺が悪い。
気づいてやれなかった、俺が全部悪い。
人目もはばからず、泣き始めてしまった夏希を
同じく、人目もはばからずに抱きしめる。
「ごめん。ごめんね。気づいてあげられなくて。
俺だって、したいよ?
けど、夏希辛くないかなって…」
「へい、き」
抱きしめながら、お互いにだけ聞こえる声で話す。
そろそろ、覚悟決めなきゃな。
なんの覚悟って?
夏希を抱く覚悟だよ。
そりゃ、一生大事にする!ぐらいの勢いで行きたいしね。
「ねぇ、夏希?」
「な、に?」
「今日、俺の家に止まりにおいで。
親はいるけど、やること一緒だから。」
「ふふっ…仲良し、なんだね。親」
「まぁね。それで、来るの?来ないの?」
夏希は俺の背中に回っている腕の力をいっそう強くして
「行く。」
とだけ答えた。
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