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消えて無くなって
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オレは、どうせなら
裕翔と同じように死のうと思った。
だから、学校の屋上にいた。
最期なら、湊のことをちゃんとしときたくて
メールを打った。
)急にごめん。
オレ、もうダメだと思うから
別れてください。
送信できたのを確認して
屋上のフェンスを乗り越えようとした。
でも、高すぎて越えられなかった。
端の方に扉を見つけたが
鍵がかかっていたから、
管理室へと向かった。
その時、後ろから声が聞こえた。
「夏希。」
湊だった。
「みな、と?」
微笑みながら、近寄ってくるんだ。
月明かりがほんのり入って来る
学校の廊下は綺麗で。
そこを歩く湊は、もっと綺麗で
「別れろ。
なんて、わがままは聞いてやれないぞ?」
「なんで…?ここに??」
「田中裕翔、田中凪斗、佐藤遥希。」
なんで…その名前を…
「夏希、寝言で繰り返し言ってたから
ちょっと調べてみた。
32年前の事件だろ??」
オレの表情を確かめながら
ゆっくり、ゆっくり。近づいてくる。
「夏希の寝言は
どうにもおかしいところがあった。
遥希さんと、凪斗さんの名前は呼ぶのに
裕翔さんの名前だけは言わない。」
ダメだ。
気づかれたら。
もしも
湊が遥希センパイの生まれ変わりだったら…
「夏希が田中裕翔の目線で見ているから。
自分の名前は言わない。」
やめて…
それ以上はもう、聞きたくない…
「調べてみたら辛い前世の記憶って、
生まれ変わっても残ることがあるらしい。
それなんじゃないの?」
気づかれ、ちゃった…
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