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君の目に...2
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―てろりーろらららら
一番好きなバンドの一番好きな曲。
この着信音、忘れるはずがない。
夏希とお母さんどちらか、
ケータイには『お母さん』と表示されていた。
夏希の家に行った帰りの
家の最寄りのバス停からコンビニに寄って
歩いている最中だった。
「もしもし、湊くん?!」
「はい、そうです
夏希になにかあったんですか?!!」
「嗚咽上げながら泣いてるの!!
『湊がいない』ってそれしか言わなくて…
ごめんなさいね、声聞かせてあげたくて
変わるね。」
「みな、とぉぉぉっ、ひっぅぅどこぉぉ」
声聞いただけでぐしゃぐしゃの顔が浮かぶ。
「夏希?どしたの、そんなに泣いて」
「お、きたらぁ み なといなくっぅてぇぇぇ
こわく、なぁったぅ…だけ゛っずるるっ」
「ん。わかった。
今から行くから待ってろ。」
「オレぇっ、へぃっき、ぅっく だからっ…」
「そんだけ泣いてるのに平気なわけないでしょ
着いたらぎゅうううってしたげるから。
落ち着いて待ってなさい。」
―プーップーッ
電話を切って、全力疾走。
もう最終は出ている。
バスで20分弱の距離って思ったより遠い。
けど、俺は夏希のことしか考えてなかった。
疲れなんて感じないくらい
ただただ、走っていた。
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