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喪失(湊)
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―カツカツカツカツカツ…
「湊くん!!
夏希、夏希は?!!!
夏希はどこ?!!」
「お母さん…」
お母さんは、パニックになっていて
かく言う俺も冷静じゃないが…
じわじわ滲んできそうな涙を堪えて
紅い光を見上げる。
「あぁ、手術中。なのね…」
少しホッとしたような、
ショックを受けたような…
そんな顔だ。
あんなに、守るのでって言ってた手前
申し訳なくなってきて…
堪えていたはずの涙が粒を大きくして
頬をつたう。
「お母さん、夏希を守るって…
約束、守れずすいません…っっ!」
精一杯頭を下げる。
―ぽん
「そう言ってもらえる人がいて、
夏希は幸せ者ね。
湊くん、夏希をこれからもよろしくね」
頭を上げると、優しく笑う人。
夏希の笑顔が連想されて…
「な…つき。。。」
お母さんの方が心配だろうに、
俺は我慢できずに泣き崩れていた。
そんな俺を、なだめてくれたのは
お母さんだった。
「大丈夫よ。あの子は…
夏希はそんなにヤワじゃない。
強く、強く!育てたんだから!!」
お母さんは自身に言い聞かせるように、
俺の目をしっかり見て
自信たっぷりに教えてくれた。
俺がお母さんに笑いかけると、
お母さんも笑って、
あの紅いランプが輝きを失った。
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