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進むための後退(夏希)
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「―――まぁ、こんな感じ。
…大丈夫?」
なるほど、ね。
オレには前世の記憶があって、
前世じゃ遥紀に、現世じゃ壮介ってやつに
おんなじようなひどい扱いを受けた…ってこと。
さっき、湊が言ってたのは壮介から逃れて警察を呼ぶために
オレにとった行動のせいでオレが追い詰められて
腕を切ったんじゃないかと思ったから、だと。
……頭が混乱する。
前に見た夢で、オレの名前を呼んで殴っていたのは
壮介ってやつだったのかな。
でも、あの人はオレを『愛してる』って…
やっぱり、壮介とは違う?
湊から聞いた感じ、ただオレが気に入らないだけみたいだし…
あーもー。わかんないなぁ。
「夏希?大丈夫?」
「あ…ぁ、うん。ちょっと、整理つかないけど
大丈夫。」
「そう。良かった。」
ふわふわ。どきどき。きゅんきゅん。
湊の安心したようなその顔が、オレを一番安心させる。
「ん。おいで?」
両手を開けて、湊が腕の中に入ることを勧める。
逆らわずに、すっぽり包まれる。
「よし、よし。怖かったね。
夏希は変に考えずに、俺に甘えててね。」
あぁ、前にも。言われていた。
「湊。保健室で、オレを嫌いになれなんて言って
ごめんなさい。嘘だから。
オレの事好きでいてね。」
湊の首に擦り寄りながら、そう言うと。
「うん。ちょっと思い出したね。
大好きだよ、夏希。」
ほっぺたにキスされて。
そのまま、またベットに入って抱き合ったまま寝ていった。
起きた時にはもう、夕方で。
湊は、「今日は帰らなきゃね」と
寂しそうに帰っていった。
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