アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
お祝い(湊)
-
うつろな目で、少し涙をためて、頬を染めて
俺にしがみつきながら、上目遣いで見つめてくるなんて
誘ってるようにしか見えない。
これ以上すると理性が飛びそう。
そう思って、夏希をソファに寝かした。
俺がキッチンに戻って、美波さんの手伝いを再開して
数分経つと、夏希は眠ったようで
陽介さんが知らせてくれた。
それが合図だったかのように、
陽介さんも美波さんも真剣な面持ちで俺の方を見る。
「湊くん。
学校はどんな感じなのかな?」
「まぁ、みんなオレと渚には話しかけてきませんね。
イジメとかはないんですけど、
避けられてる感じはあります。」
「そうか………。」
うーん。と少し難しい顔をする夏希の両親。
「それがね、今日夏希の担当医にお礼を言いに行ったら
転校は考えていないのか、と聞かれてね。」
転校………。
まぁ、それはそうだよな。
あんな騒動があれば、転校を考えたっておかしくないよな。
「でもね、私はね、
転校したら逆に学校に行きづらくなると思うのよ。
だって、当人たちの名前は出ていなくても
あの事件はニュースになってるわ。
高校の名前も、校舎だってテレビに写ってたわ。
いつ気づかれるのか気が気じゃない状態よりも
渚くんや、湊くんがいる環境がいいと思うの。」
「俺もそう思うんだが……。
やはり、湊くんや渚くんが
夏希の味方をしてくれるのが前提だから
聞いておこうと思って。」
なんだ、それだけのことか。
拍子抜けしてしまった。
転校させるつもりだから、とか
県外に引っ越す、とか
そういう類の話だったらどうしようかと思った。
そんなの、答えは決まってるじゃないか
「もちろんです。
俺の出来る限りで守ります。」
そう宣言すると、美波さんも陽介さんも
ホッとしたような顔をしていて
「うちの夏希をよろしく頼むよ。」
と陽介さんが笑いかけてくれた。
嬉しくって、
「はいっ!」と答えると
頭をわしゃわしゃと撫でられた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
152 / 193