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このまま...3 (湊side)
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「遥希センパ…」
夏希はそう呟くや否や
目を見開いて、体を震わせながら
ぽろぽろ泣き出した。
「や、そんな…うそ。。。?」
だめだ。
このままじゃ、
夏希がまた怯えて怖い思いをする。
「夏希…」
抱きしめようと思っただけだった。
「やっ…!!
渚、オレに何するの!!!
オレはもう湊と幸せになるの!!
このまま、ほっといてくれよっ」
俺の手をバチンと叩いて、
渚の近くまで駆け寄って
渚をぐわんぐわん揺すりながらそう叫んで
「もう、このまま…ほうって、おいて、
遥希、センパ…」
嗚咽を抑えるように涙を飲み込むように
そう話すと夏希はまた倒れた。
渚はなんのことかわからないようで
ぽかん、としている。
「メールで詳しいこと、言うから。
帰ったほうがいい。
夏希が何するか俺にもわからない。」
渚はコクン、とうなずいて
荷物を持つと早足ぎみに病室を出て行った。
―なでなで
「んっ…」
涙の跡が少し残っている。
声を漏らしたけれど、起きる気配はない。
また、遥希の夢を見なければそれでいい。
例え、遥希の生まれ変わりと思われる人を
見つけてしまったのだとしても
笑って欲しいんだ。
ただ、幸せだって笑って欲しいんだ。
気が付くと、夏希の頬に俺の涙が伝っていた。
苦しむ夏希はもう見たくない。
けど、俺は夏希を守りたい。
誰よりも側で夏希を愛していたい。
夏希が笑えないなら俺が夏希の分も笑うから
だから、今だけは穏やかに眠っていて。
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