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キミHOLIC...2
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「…湊。」
「大丈夫。俺、いるでしょ?」
やっぱり怖い。
歩いている人が、みんな敵に見える。
「湊、きもち、わるい。
吐きそう…」
震えてるの、わかってる。
「仕方ないなぁ。カバン、持っててね。
よっこらせっっ」
だっこかぁぁぁ。
落ち着くけど恥ずかしい…
「教室まで連れてってあげるから。
行ける?
席、俺の隣にしてもらってるから。」
―こくん
頷くと、「よし!」とふんわり笑って
スタスタ歩き出した。
いろんな人が、振り返るけど
俺は湊と喋るのに夢中だった。
教室に着いても、
オレは廊下から中には入れずにいた。
「どしたの?」
「湊、オレ怖くて…」
「そっかそっか。どうしたら怖くない?」
「ちょっとだけ、廊下にいてもいい?」
「ん。じゃあ、喋ってよっか」
湊は、何も言わずに
またオレに付き合ってくれる。
…ありがたい。
「湊、ありがとう。」
「ふふ、もっと頼っていいからね」
優しいなぁ。
暖かい気持ちに包まれていた時、
俺の体は一瞬にして凍りついた。
階段から徐々に登ってくるその姿。
「遥希センパイ…」
湊はすぐに気づいた。
オレをぎゅううううっと抱きしめて
「大丈夫だよ。遥希じゃなくて、渚。
親友の渚。面白い渚。
ずっと遊んできたでしょ。大丈夫、大丈夫」
ぽんぽん、背中をさすりながら
オレの呼吸を整えてくれてる。
渚は、オレに気づいたのか
ゆっくりと近づいてきて
「はよ。幸せになれ。応援してるぞ夏希。」
と笑いかけてくれた。
湊の腕の隙間からちらっと見えた渚は、
髪色を金から黒に戻していた。
いつもは、こだわっていたツンツンヘアーも
少しゴツめのピアスも。
全部無かった。
「ほら、何もされなかったでしょ。
渚、応援してるって。良かったね。」
きっと、渚なりのオレへの配慮。
遥希センパイに似ているものを
できるだけ全て断ってくれたんだ。。。
「湊、渚のところ、行きたい。」
今まで恐がって一度も向き合えなかった。
オレの親友の渚。
ちゃんと、その優しさを受け止めたい。
ありがとうって伝えたい。
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