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かたち...2
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―シャッ
「日和くん??」
聞かれてしまってたみたいだ。
オレの鼻水をすする音、嗚咽を堪える息。
泣いているオレのその証拠。
遡ること、数十秒前。
目を覚ましたオレは、ここが保健室だと
すぐに気づいた。
―また、倒れちゃったな。
少しずつ、倒れる前のことを思い出す。
あいつに、馬鹿にされて
湊と渚がかばってくれて…
そういえば、前世でも同じことがあった。
遥希センパイに連れられるオレを
不安そうに見送る凪斗。
オレを救おうと、死を決意した凪斗。
前世だろうと、オレは一度人を殺している。
―もしも、また同じことが繰り返されたら?
そう思うと、涙が止まらなくなってしまった。
「ひっ…くっ。。。ううううう」
そして、冒頭に戻る。
「日和くん。湊くんに電話してもいい?」
来てほしい。早く来て、また『大丈夫』って
背中を撫でながら、抱きしめてほしい。
反対に、湊には自身の未来を大切にしてほしい
オレの一時のワガママで
湊の色んな事をないがしろにしたくはない。
―オレがいなくたって、幸せになってほしい。
最低でも、オレみたいに
誰かに突っかかられて、それをかばうのに
自分を犠牲にしなきゃいけない。
せめて、そんな人じゃない人と。
「み、なとぉぉぉぉ…」
小さい声で、呼んでみる。
寂しくて、ただひたすらに会いたい気持ちと
湊が苦しんでいるんじゃないか、
オレのこともう嫌いなんじゃないか
次会った時は
冷ややかな目で見られるんじゃないか
不安だった。
―ガラガラガラっっ
「夏希っっ!」
なんで、来たんだろう。
オレは、顔を見られるのが嫌で
布団を頭まで被った。
「夏希。。。どうしたの??」
「や…みなと、もぅ、オレのこと
嫌いになって…っ!」
自分が湊を嫌いになれないから。
湊にまた、ワガママを言う。
本当は、ワガママ言いたいわけじゃないんだ。
もうすぐそこまで出かかっている言葉は
なかなか、顔を出そうとはしない。
「夏希。」
不意に呼ばれた声が、少し強張っている。
「夏希!」
首をふる。否定しているんだ。
もうこれ以上、近づかないほうがいいから。
「夏希っっっ!!!」
怒鳴られたって怖くない。
愛しき湊。
あなたの幸せを願って。
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