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かたち...3(湊side)
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「おい、夏希っっ!!
顔出せよっ!」
ゆるゆると力の無いように首を振る。
さっきまで、俺に大好きって笑ってくれたのに
「夏希っっ!」
「や!!!湊はオレといない方がいい!!!」
「馬鹿なこと言うなよ!!
俺は夏希がいないと…!!」
「それ、でもっっっっ」
声を張り上げて、俺の言葉に割り込んでくる。
夏希の意志は堅いんだって伝わってくる。
おおよそ、俺が授業抜けてきてたり
盾になっているから
それを気にしているんだろう。
それを差し引いても、だ。
「別れ」をきりだされるのはもう2度目。
さすがに、弱ってすぐに別れろと言われるのは
俺だって辛い。
「布団、剥ぐぞ。」
―バサッッ
「何言ってるんだよ、ばか。
俺がいないって泣き叫んでたのは
どこのどいつだよ。」
「……」
「夏希、なんで俺に『嫌いになれ』って言うの
そんなこと、出来るわけ無いでしょ」
「わかってる。」
「じゃあ、なんで?」
涙声に、腫れた目。
顔をこちらに向けさせると、見えてくる
夏希の苦しみ、悲しみ、不安。
それと、意志の強さ。
もうだめなんだな。と悟った。
『たとえ好きでも別れなきゃいけない。』
きっとそれが、夏希が出した答え。
「…わかった。
もう、勝手にしろ。」
そう言うと、徐々に涙にくすんでいく瞳
「バイバイ。夏希」
―ピシャン
…本当は、嫌なくせに。
俺との今の恋の『かたち』じゃあ、
夏希を不安にさせるだけなんだな。
涙を堪えて、教室へと戻った。
席が隣だから、それも苦しくて
トイレの個室で息を殺して
ただ泣き崩れていた。
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