アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
乙女思考【kyrt】
-
「ねぇレトさん」
今俺はキヨくんの家にいる。
いつもなら実況を撮りに来ているのだが今日は違う。
……言うなら、お家デート?ってやつだ。
先日、俺とキヨくんは晴れて恋人になったのだ。
その経緯は…まぁ、長くなるから置いておこう。
「なっ、なに?」
恋人同士になって初めて2人きりの状態。
この状態に、俺は何故か凄く緊張していた。
そんなところにキヨくんが声をかけてきたのだ。
思わずビクッと体を揺らしてしまった。
「これ見て」
キヨくんは特に気にする様子も無く読んでいた雑誌を広げて見せてきた。
素直にそれに目を通す。
……『彼氏にされてみたいことランキング』……?
これがなんだ、と言わんばかりの顔をしてキヨ君の方を見る。
キヨ君はまっすぐこっちを見てきた。
「れとさんもこういう事されてみたい?」
「はぁ?」
阿呆みたいな質問に俺は首を傾げた。
こういう事、というのはそのランキングの事だろうか。
内容を思い出してみれば壁ドンやら顎クイやら、少女漫画みたいなものばかり。
寧ろ俺ら実況者にとって壁ドンなんて意味を違く捉えるくらいだ。
特に興味は無い。そう結論を出した。
「別にされたいとは思わないけど?」
そう返すとキヨくんはへぇ、と小さく呟く。
何がしたかったのかは分からないが俺はそういうのにときめく乙女ではない。
俺は壁際に置いてあった自分の鞄に手を伸ばした。
……その時。
「……っき、よくん?」
俺の背中には壁があって、顔の横にはキヨ君の手があって、目の前にはキヨ君の顔があった。
状況が分からなくて思わず目線を下げた。
するとキヨ君の手で顎を持ち上げられる。
3秒の間があった。
「…」
ぼんっと音がするくらい顔に熱が集まった。
キヨくんは俺の真っ赤な顔を見て満足したように離れる。
にやついているその顔を俺は勢いでビンタした。
「ったぁ!?なにすんのれとさん!」
「なっ、なにすんのはこっちの台詞なんだけど!」
「え、いや、本当にされたいって思わないのかと思って…」
されたい、というのはさっきのやつのことか。
キヨ君が見せてきたランキングに載っていたもの。
……壁ドンやら顎クイやら。
そこまで考えて引きかけていた熱がぶり返す。
興味ないと思っていたのに何故か心臓は煩く鳴っていた。
「ねぇれとさん?顔赤いけど……ドキドキした?」
キヨ君は俺の顔を覗き込むとにっと笑って見せた。
目の前にある顔をぐい、と手で無理やり横に向けさせる。
俺はこんなんでときめく乙女じゃない。
……はず。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
16 / 19