アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
《急転》13
-
「静脈血栓塞栓症の予防にもなりますしね」
ついでのように伝える健次。
「静脈…?」
難しい単語にまた首を傾げてしまう。
「ええ、エコノミークラス症候群とも言いますが、長時間同じ体勢で動かずにいると、足や腕の静脈に血の塊ができてしまい、急に動いたりすると、それが血管を流れていき、肺動脈などに詰まってしまうと、心肺停止状態に陥り、最悪突然死を引き起こしてしまうかもしれない危険な症状があるのです」
穏やかに説明している健次だが内容はかなり不安を煽るもので…
「と、突然死…」
かなり驚くみずきだったが…
「寝たきりでも、定期的に足や身体を動かしてあげていればその心配はほぼなくなるので大丈夫ですよ」
健次は安心させるように言葉をかける。
「……はい」
そう言われても命の危険が続いているという状態は不安になる。
「出来るときで良いんですよ、身体のケアはこちらでもしますから、無理ない程度に…」
負担を軽くしようと優しく声かける健次。
「はい、分かりました。お願いします」
不安ながらも健次がついているので、それだけでも心強い思いになるみずき。
「もしアキラが目覚めた時に側におられましたら、急に動かないように言ってくださいね。おそらくアキラは自分自身に起こっていることを理解できていない筈なので…」
「はい」
しっかり頷くみずき。
「いつもありがとうございます」
健次は再びお礼を言い…
「いえ…」
「ではまた来ますね」
いつもの優しい笑顔を残して病室を後にする。
「はい、お願いします」
健次を見送り、みずきは再びアキラのすぐ側に座る。
呼吸器に繋がれ、目覚めないアキラ。
「……」
意識がなく、寝たきりが続くとそれだけ突然死のリスクが高くなるんじゃないだろうか…
そんな不安がよぎるみずき。
「アキラ…早く目を覚ましてくれ…」
アキラと会話したい…一言でもいいから…
アキラの手を握り、そう願うみずき。
そして、みずきは健次に言われたとおり、アキラの為に、手をマッサージし、足の関節をゆっくり動かして、アキラの身体が動きやすい状態を保てるように、そして突然死のリスクを軽減させるために懸命になる。
アキラが元気になることを切に願いながら…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
92 / 149