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《急転》15
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「いえ…それは?」
健次の手には透明の液体と黄色がかった液体の入った点滴用の袋。ふと気になって聞いてみるみずき。
「薬の点滴とアキラのご飯です」
「ご飯?」
「現状態では口からの摂取が困難なため、これを直接アキラの体内、血液におくっています、こう見えても結構カロリーがとれるんですよ」
話しながら健次は、つるしてある点滴バックを新しい物に差し替えている。
「……」
呼吸器もだけれど…点滴の針も昨日からずっとアキラの身体に刺さったままで…
それを見るだけで痛々しい気持ちになる。
「アキラはここ1ヶ月半ほどの間に急激な体重減少が見られたので栄養状態の改善を…高カロリー溶液を直接大静脈に流して栄養の確保をしているんです。もともと体重が軽すぎる子なので少し減っても身体に悪影響が起こるので…、薬に関しても…」
みずきの沈黙する姿をみて、健次は少し詳しく説明してくれる。
「……そうですか」
「鈴鹿さんはアキラと一緒に住まれていましたよね?ここ1ヶ月のアキラの食事状態はどうでしたか?」
不意に聞く健次に…
みずきはややうつむいて答える。
「俺は…すみません、詳しくは分からないんです。1ヶ月ほど前から一緒に住んでいなかったので…」
「そうですか…」
少し考えるようにアキラへ視線を向ける健次…
みずきは続けて話す。
「アキラにも一昨日久しぶりに会って…俺も痩せたなと思って聞いたら、あまり食べてないと…」
もともと食は細い方だったけれど…
本人が食べていないと言うくらいだから本当に少ししか食べていなかったのかもしれない…
「そうですか…亜澄から聞きました…アキラが死を匂わせるようなことを言っていた…と」
健次はみずきに窺うように話す。
「……はい、自分の命はそんなに永くないと…」
アキラの口からそんな言葉を聞くのは辛過ぎるみずき…拳を握りしめ、俯いたまま答える。
健次は…
「今のままの生活を続けていれば…恐らく半年持つかどうかですね…」
「っ!?」
半年!?
健次の言葉が信じられなくてハッと顔を上げるみずき。
「実際に命を落としかけていますし…栄養状態も悪く薬の管理もおろそかになっている状態では、またいつ体調が急変するかわかりませんから…」
健次はそれでも冷静に状態を伝えてくる。
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