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さすがにお風呂まで着いてこようとする秋ちゃんに、少し焦る。
「秋ちゃん……、本当に大丈夫だから…ね?」
ゆっくり話しかけても全然帰ってこない。
「……小ちゃん、どうしよ」
「…………」
べったりくっついてはいないものの、何気についてきている小ちゃんに助けを求めた。
「秋葉、律が困ってる」
無理矢理に引っ張る小ちゃんに、「も、もう少し優しく…」と静止をかけた。
「……ゃ、…」
ぼそっと何かを呟いた秋ちゃんだったが、バッといきなり顔を上げて
「嫌」
はっきりそう言った。
くっついているのは別にいいんだけど、さすがにお風呂は……。
それならば、と提案をした。
「お風呂出たらすぐくっついてもいいから、……僕の部屋で待ってて」
しかしそれすらも聞かない秋ちゃんをまたぐぐっと僕から引き剥がす小ちゃん。
ありがたいような怖いような。
そのまま嫌がる秋ちゃんをズルズルと引き摺りながら僕の部屋へと連れていった。
▽
ふぅ、と息を吐く。
脱衣場の鏡に映る自分の体に、何度も嫌気が差した。
この傷は一生消えないんだろうな、と大きめの縫い跡に触れる。
もう随分前の傷なのにまだ痛いような。こんな傷は誰にも見せられないから、僕は誰ともお風呂には入らないようにしている。
湯船に浸かっている時、今日起こった出来事を振り返ってまた溜息をつく。
「今日のこと、言うべきかな……」
紡は何が起こったらすぐに言えといつでも言う。
でもこれを言ったところで彼に何かしてもらうというつもりでもない。
「……やっぱり…………黙っておこう…」
自分の容態が悪化しているだとかしていないだとか、そんなのはどうでもいい。
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