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『いいか、律。そうやって学校に行けるようになったのだってまだ遠い昔って訳でもないんだからな。些細なことでも絶対連絡しろ』
「……わかった」
些細なことって、どこからが些細なのかわからない。
今回だって、相手の迷惑を考えて行動しているつもりなのに、逆に二度手間を取らせてしまった。
どうするのが適切なのかわからない。
通話を終えた携帯からは一定の音が流れていて、それを切って全身から力を抜いた。
「りっちゃん…………」
ベランダから戻ると、暗い雰囲気の双子と目が合う。
「おはよう、小ちゃん。秋ちゃん」
ニコニコっと笑顔で挨拶をするのだけれど、キョトンとした顔で返されるだけだった。
「あ、そういえば2人とも。昨日……も言ったんだけど、疲れててちゃんと言えなかったから、…………迷惑かけて本当にごめんなさい」
昨日の謝罪を兼ねてのお辞儀。
「え、あ、いや……」
ふと顔を上げれば、困惑している2人の顔。
なんだか様子が変だ。
昨日ってワードを出しただけなのに秋ちゃんはビクッとしてた。
「ふふっ、変なの。なんでそんなに不思議そうな顔してるの」
しばらくの間2人の顔に笑っていると、ふと秋ちゃんが言葉をもらした。
「怒って、ないの……?」
小さくなりながら話す秋ちゃんはまるで小動物。震えるうさぎのようだった。
でも……
「…え、何に………………?」
小さく、息を吸う音が聞こえた。
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