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「……うん。ごめんね」
小さめに息を吐いて落ち着きを取り戻し、もう一度その姿を見た。
やはりこの家の人である、と主張するような容姿。
中学二年生でありながら僕とあまり変わらない背丈。
(ちょっと悔しい)
「ごめんねって何。またニコニコ笑って気持ち悪い」
本当に嫌われている。
でも僕自身も自分に対して思っていることだから、返す言葉もなかった。
息詰まって沈黙が流れていた時、
「何してんだ、そんなとこで突っ立って」
それを破ったのは……
「あ、おはようございます。悠月君と成海さん…」
「何かありましたか……?まさか篤紀が何か言ったとか…………」
そう言われた途端にパッと表情が変わる篤紀君に僕が焦る。
そんなわかりやすい顔をしたらバレちゃうじゃないか。
「そんなことないよ悠月君。あんまり話したことないから、少しお話してただけだよ」
「そうですか……」
悠月君は少し驚いた様子で「篤紀が話を……」と小声で呟いていた。
あからさまに焦っている篤紀君に少し笑ってしまいそうになる。
いつもあんなに怖いのに、案外可愛いところがあるんだなぁと。まだ人の言葉に対してそこまで心を動かすことが出来るってことは、この子はきっと大丈夫なのだろう。僕みたいには、ならずに済む。
きっと素直で、いい子。
僕のせいで一気に環境が変わって、追いつけていない。
彼のためにも早く出て行かなくちゃなぁ、と思う。
その場が一気に和やかになり、悠月君と篤紀君は一緒にリビングへ。
僕もそのままリビングに向かおうと足を出した時、後ろからポンと軽く頭を叩かれた。
「成海さん?」
「他人を庇うのも程々にしろ。そのうち自分が大怪我するからな」
忠告だと言わんばかりにニヤニヤと言われて、少しだけ腹が立つ。
ただ僕は誰も庇ったつもりなんてないのに。
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