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1 said和慎
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双子に話しかけている間に律を見失ってしまい、3人で校舎内を探していた。
1度教室に戻ってもカバンは置いたままだから、まだ中にはいるはずで。
あと見ていないところと言えば、渡り廊下の向こう側。あまり使われない第二校舎の方だった。
「あっちの校舎に忘れ物かな……」
いつもより元気の無い秋葉の声が後ろからする。
「今日は第二校舎への移動教室もなかったし、忘れ物ではないと思うんだけどな」
俺がそう言うと、またしゅんとする2人。
本当に何があったんだろうか。
それに律のことも。
気になる。
俺達は足早に第二校舎へ向かった。
あそこには理科室とか音楽室とか、いわば移動教室のための部屋が多い。
何の用なのだろうか。
◈
探し始めて諸々45分が経過して、第二校舎に入った。
人ひとりいないような静かな所。
「それぞれの教室見て回っ…………ちょっと待って、何か聞こえる。携帯の音かな」
秋葉は言いかけた言葉を突然やめて、音のする方を見る。
「理科室の方だな」
「行こう」
3人で静かに理科室へ近づいて行った。
近づいてわかる、律の携帯の着信音。
「ー……って、」
教室からは微かに声が聞こえていたけれど、着信音が止むと鮮明に聞こえるようになった。
「手首、外してもらえませんか」
冷たく、感情の篭っていない声が静かに聞こえてきた。
「逃げそうなんだもんね~」
「だから逃げませんから…でも、だからってこんな…」
中にもう1人。
秋葉に似た話し方をする男の声。
何をしている……?
会話の内容が意味深で、なかなか扉を開けられずにいる俺を押し退けて秋葉がバンッとドアを弾く。
「あ、おい秋葉!」
止めた時には遅く、中の様子は俺にも確認することが出来た。
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