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一段落して2人でソファーに腰掛ける。
暖かいココアを目の前のテーブルに置いて、ゆっくり悠月君の方に向かって口を開いた。
「今日は、どうしたの……?」
「この間は、…篤紀がごめんなさい」
わざわざ僕の目を見て頭を下げる悠月君に驚く。
「え!?ちょっと頭上げてっ、大丈夫だから……!」
焦って無理矢理顔を上げさせると、申し訳なさげに眉を下げる。
「ほんっとうにごめんなさい、篤紀はあんまり人に慣れていないから……俺、あの時ちゃんと言っておくべきでしたよね…」
この子は本当に中学三年生……?
僕の知ってる中学三年生ってもっとこう…………やめておこう。
「ううん。多分ね、僕が悪いから…全然気にしなくて大丈夫。篤紀君のこと、嫌わないであげてね。……嫌うなら僕のことを嫌ってほしい」
「何言ってるんですか…この件は篤紀が一方的に……」
「そんなことないよ。"何の関係もない部外者"として僕がこの家にいきなり上がり込んだことも、篤紀君に対してあんまりいい態度を取らなかったのも事実だよ。……だからね、僕が環境を変えてしまったそもそもが篤紀君に悪影響だったのかもしれないね」
思春期の男の子ならば尚更、こういう家庭的な問題って本当にデリケートなんだと思う。
中学の時、友人の行動やら言動を見て、それが何なのかもわかった。
僕にはそんなの考える時間も暇もなかったし、あんまり感情も豊かなほうじゃなかったから、反抗期はあまり感じたことのないものだけど。
人が成長する上で必要な反抗期をちゃんと通って来れているってことは大丈夫なんだ。
「篤紀君とあんまりお話したこともないし、人柄もよくわからないよ。でも僕人を見る目だけはいいと思ってるから……いい意味でね、篤紀君は凄い人になるんじゃないかなって思うんだ。だからね、……なんて言えばいいかなぁ…………彼の成長段階において、僕は最も邪魔っていうか、あんまり居ない方がいい登場人物なんだよね」
環境が変わるっていうのは本当に大きなことで。
変わった先がいいものだったらまだしも、僕だったから彼も不幸だったなぁと思う。
彼のためにも早めに出ていきたいなぁと思うし。
「律さん………どうしてそんなに自分のこと……」
「……?」
「なんでそんなに自分を悪く言うんです……?律さんがこの家に来たのだって、来たくて来たわけじゃないんでしょう?親同士で勝手に決めた話だと聞きました。…なのにどうして…………」
「…………、ってる」
「え?」
「っ、!…ごめん、なんでもないよ…………」
無意識に口から出た言葉をとっさにしまってゆっくり呼吸をする。
大丈夫、落ち着こう。
ここは……あの場所じゃない。
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