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思いのほか悠月君は深い眠りに入ってしまったらしい。
本当はベッドに移動させてあげたいけれど、力の抜けた人を動かすっていうのは難しい。
特に僕みたいなひ弱な人間には尚更。
起こさないようにゆっくりソファーに寝かせて、冷えないように少し厚めの掛け布団を掛けた。
子猫みたいに素直に寝る綺麗な少年を見ていると、毎日貼り付けたような笑いをしている僕が虚しくなった。
あの双子にどうやって接しようとか。
廊下でばったり篤紀君に会ったらどうしようとか。
悩みは尽きなかった。
「どうしたものかなぁ……」
どこから解決していけばいいのかな。
うーん……
悩み悩みを繰り返していると、ブーッと携帯が振動した。
「……?あ、もしもし」
『何で起きてんだよ』
「そっちだってこの時間にかけてきたでしょ」
向こうから聞こえてくるのは紡の声。
少し癒される。
『まあ起きてるとは思ってたけどな……』
「ん……何か用…?」
『あぁ、お前の家の方に引っ越すからよろしくな。明日の夜行くからな。先に予告するだけいいと思えよ、いつもはしねえし』
「あ、そう……
……は!?明日!?」
そんなこと聞いてない。
でも遼さんには言ってあるらしい。僕に先に言うだろう普通……。
『あーでも日付変わってんのか。今日だ』
「今日って……………な、んでもっと早く……じゅ、準備ってものが……」
『例えば?』
「…………」
『ん?』
「無いです……」
『よろしい。静かに待ってろ貧弱様』
貧弱様……
「……わかった…」
反論もできないままに言いくるめられて、そのまま通話が切れた。
どうしよう……
どんどんこの家に厄介事を持ち込んでしまう、自分がしたくないと思っていることも全部。
「かかりつけ医なんて来たら僕のことバレるかな……なんとか上手くやってくれるよね…………」
今までも……なんだかんだいつも不本意ながら厄介事を持ち込んでしまって、更にそんな時には自分の身にもあまりいい事が起こらなかった。
今日は何が起きる日か……。
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