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遠目
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一階に降りてリビングに入ると、もう朝ご飯が用意されていた。
「あ、りっちゃんおはよー」
「おはよう、律」
最初に迎えてくれたのは小葉さんと秋葉さん。
「おはようございます。こんな遅くまで寝てしまってごめんなさい。あの……なにか手伝います」
「大丈夫。…もう食べよう」
「あ、……はい」
話し方が少し冷たいせいか、怒らせたのかと思ってしまう。多分気を使ってくれたのに。
その後もなんとなく申し訳なさが残っていたが、悠月君や成海さんも来たことで少し落ち着いた。
でもやっぱり篤紀君が来ることはない。
朝食を食べながら他愛もない話をしているみんなを見ながら色々なことを考えた。
僕にとってこんなに互いに関わりを持つ家族なんてものを見たのは初めてだし、正直どのように接していいのかもわからないし。突然放り込まれた世界は、今迄の辛い日々とは全く違う静かな世界で。でもそこでも辛い思いをしている。
混乱して自分がどうしていいのかもわからない。だから、嫌なんだと思う。
家族だよ、と言われても絶対わからない。
自分はどこか欠落している。
「あの、律さん……大丈夫ですか?」
そんなことを考えていたら、悠月君の声が聞こえてふと我に返った。すると悠月君は席から立って僕の目の前にいた。
突然のことに驚きすぎて「ふぁっ…」とか言ってしまった。
……笑われたのは気にしないことにする。
「だ、だだだだ大丈夫、大丈夫ですっ」
後ろにさがり、笑いながら言った。
悠月君も「よかった」と言って笑ってくれたから安心だ。
でもチラッと目が合った2人。遼さんと成海さんは、怒っているのか、呆れているのか、不安なのか、三つ混ざったような難しい顔をしてこちらを見ていた。
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