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「じゃあ……」
そう言って難しそうにこちらを見つめてくる遼さん。
「……?」
つい言わなくてもいいことまで言っちゃったなぁ…と少し後悔しながらも、何か言いたげな彼を見つめ返した。
「…………本当はこんなこと、言うべきじゃないのかもしれないけどね……」
ふぅ……と一息ついた後、静かに息を吸い、口を開いた。
「律君は、そうだな……俺達の事を…………まだ家族だと思わなくていい。ゆっくり家族ってものを知っていってほしい。だからね、家族がどういうものかわかった時は……俺達のことを家族って言ってほしい」
◈
「……家族、ね」
自室に戻って静かにベッドに横たわる。
自分にとって遠いもの。そう思っていたのに。
あの言葉を言って、最後に僕が部屋を出る時。
“俺達は律君を家族だと思ってる”
“さっき、妬いてるとか言ったのは……冗談だからね”
なんて笑顔で言われた。
「先生、寝たかな」
疲れてしまったけれど、なんだか話し相手が欲しくて。
「……せんせ」
『なんだよ、大人は忙しいんだよお子様〜。そんで先生っての苦手だっつったろ』
小さめに息を吐く。なんだか安心する。
「...話し相手になって、紡」
『大人は忙し…………おうおう、どうしたんだお前。なんかあったか?』
何かを察してくれたみたいに、優しい口調になる。
紡(ツムグ)っていうのは先生の名前で。彼は親しみやすいようにって僕に合わせてタメ口で話し合っているけれど。
「帰りたい……」
この人は、信用できる人……だと思ってる。
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