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「……別に、下に見ている訳じゃないです。でも僕はそのカード、受け取れません」
カードを返すという行為が、僕が自分自身を下に見ていると思われることになっても構わない。
「率直にさ、何がそんなに駄目なの?自分の身が大事じゃないの?」
「…自分は………駄目な人間ですし、人と関わることは極力避けたい。あまり僕に構わないで欲しいんですよ。自分の身が危ないとか……正直あまり考えないですから」
たった少しこの生徒会室にいただけなのに、何故僕はここまで問いただされなければならないんだろうか。
僕がカードを受け取らずにこれまで通りに学校生活をしていれば、生徒会の人も風紀委員の人も、一つ仕事が減って絶対に楽じゃないか。
「自分の事にとことん無関心なんだね、ちょっと意外かな。やけに悲観するとは思ってたけど、それ以前の問題ってことだね……ん~一本取られたかなぁ。俺には何か手に負えないかも」
佐倉先輩は、天宝院先輩に向かって苦笑いをしていた。
天宝院先輩というと、難しそうに「うーん」と唸っていて。このまま返してくれないかな、と思っていた。
「同じクラスの宮本兄弟、それから早見和慎達には何と言っているのですか」
でもその願いは叶うことなく……矢野先輩が眼鏡をクイッと上げながら尋ねてきた。
なんでそんな細かいことまで…。
「特に何も言ってないです、というか誤魔化しています」
「誤魔化す?」
「あぁ、矢野。それは俺が律に言ったことだよ」
「何故?」
「相変わらず、少し頭が固いね矢野は。俺の推測としては、律は宮本の兄弟達の囲いから恨まれているんだと思ってるんだ。突然現れた転校生が宮本で、近づくのが難しい双子とすぐに仲良くなって……多分それが原因だと踏んでいるよ」
天宝院先輩はいうか言うまいか悩んでいるような雰囲気だった。
「固くない……ですが、なるほど。あの二人が君を庇ったら更に悪化する可能性もあるということですね」
理不尽だ。
僕は前の学校にいたかったのに半ば強制的にこの学校に入れられて、……その上この学校の人に恨まれて、殺されそうになっているんだ。
「……はぁ、………………」
溜息をつかずにはいられなかった。
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