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知りたい傷 said和慎
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出会った瞬間に感じた彼の雰囲気は、とてつもなく俺の心を揺さぶった。
いつも遠くを見つめているような、澄んだ瞳。
それでいて容姿は中性的で、身に纏う妖艶さもあった。
周囲の人間を一瞬で虜にするような。
律の周り、半径5mくらいの位置にずっとオーラが漂っていた。
だから少し。ほんの少しだけ近寄り難い感じもあった。
でも話してみると案外気さくというか、不思議なやつだった。笑顔は崩れず、あまり自分からは話をしない。
どちらかというと聞く側に回る……いや、聞く専門の立ち位置みたいな。
怪我をした時は、一番ひどい自分よりも周りを心配していたり。
▽
ある程度不思議で、秘密も多いと思っていた。
でも実際彼が内に秘めていた秘密は、一つだけでも俺の許容範囲を大幅に超えてきた。
今、なんて言ったんだろう。
俺の質問に対して、彼は一言……
「あるよ」
と言ったのだ。
男との関係を持ったことがあると。
しかも、何度も。
でも恋愛対象ではない、と否定した。
俺の頭は完全にショート状態だ。頭痛がする。
「恋愛対象じゃないならなんで……、」
無意識に口から出た言葉はそれしかなかった。
何で?
そんなの、人の経験なんて俺が踏み入っていい領域ではないのに。俺が知ってどうなるレベルの話でもないのに。
「……それ、答えなきゃダメかな」
律は苦笑いでそう言った。
……それでも…知っておきたい、律の傷。
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