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生徒会から貰ったカード。
それを今後使う予定はない。
天宝院先輩には申し訳ないけれど、僕にはいらないものだ。
落としたらまずいし、持っていることがバレると何かと問題もあるらしい。
僕はそれを鞄の奥のパスケースにしまい込んでいた。
定期連絡が欲しいとは言われたものの、"どうしても生徒会室には"という僕に、天宝院先輩も少し困ったようで。
ならメールでもいいから定期的に報告をして欲しい、と言われた。
"特に問題は無い"そう送れば済む話だ。
▽
あの後和慎君が教室に戻って来ることもなく、放課後を迎えた。
「りっちゃん帰ろう~って、あの人は?」
「……和慎君のこと?体調悪いみたいで先に帰ったよ」
醜い僕は、慣れた嘘を平気な笑顔でこなす。
そういえば僕だってこうしている場合じゃない。
「ん~それと、僕まだ用事があるから……」
「待ってる」
それに対して小ちゃんは平常運行といった顔で呟いた。
「じ、時間かかるから……あと帰りに寄りたいところもあるし…………」
「待ってるし、着いていく」
ちょっと親衛隊さん?
見てますか?この状況。
これでも僕が悪いんですか?
「……」
「待ってる」
再度呟く小ちゃんに少し呆れる。
まるで聞き分けを欠いた子供のようで。それでいて大人の思考も兼ね備えている。
嫌だな……。
そういうのを断る自信がないんだもの。
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