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そのあとは、いつも通りだった。ドアの脇の壁に体重を預けるようにして、ずるずると晴はしゃがみ込んだ。
その音に気づいた佐々木が人知れず口角をあげるのも、動きをはやめるのも、そして言葉巧みに女を帰らせるのも、
はらはらと涙を流す晴を、佐々木が「ごめんな、」と優しく抱きしめるところまで、すべて、いつも通り。
晴は、「もうしないで、俺だけを見て」と震えた。その姿は痛々しく、だからこそ佐々木の所有欲を満たすものであった。
「もうしない、約束する」
そう言って佐々木は晴を寝室に連れて行き、それはそれは優しく彼を扱った。
(どうしてこんなことに)
佐々木のキスを受け入れながら、晴はこれまでのことを考えていた。
2人が付き合い始めたのは、高2の冬。幼い頃から全寮制の男子校に通っていた彼らは、たまたま同じクラスになって、たまたま仲良くなって。
晴は閉鎖的な男子校という環境のせいか、可愛らしい外見で人気があったし、佐々木は佐々木でサッカー部のエースとして皆の目を惹いていた。
誰もが理想のカップルだと言った。
それが、高校を卒業したらどうだろう。
佐々木はやりたいことがあるといって、外部の大学を受験した。
彼と同じ大学に行こうとした晴を止めたのは他でもなく佐々木で、「ずっと同じ環境にいた自分たちにとってはいい機会だと思う」、と言った。
たしかにそうかもしれない。晴は静かに頷いた。
あのときのことを、晴は今でも後悔している。
「なぁ、何、考えてんの」
「ん、なに、も」
「はる、はる、」
「なに、」
「もっとしめて、」
(抱きしめて、って素直に言えばいいのに)
晴は彼にぎゅっとしがみついて、華奢なその脚を腰に絡みつかせる。
「は、はる、愛してるよ」
「…俺も」
佐々木は晴の中で果てた。
(分かってる、分かってる、だからこそ、つらい。)
「ささき、つぎは、ないよ」
「ごめん、わかってる」
このやりとりも、4回目。
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