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おもい【勝生勇利】
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「僕の考えは甘かったんだ。ものの見事にヴィクトルは僕を視界に一ミリも入れてくれなくて、それでも僕があなたを驚かせるような演技をしたら…そうしたら見てくれるかもしれない。だから、だからっ。失敗は出来なかったんだ。まぁ音楽にのれてない時点で失敗なんだけどね。」
眉をよせて話す僕に向かって何か言いたそうに口をパクパクさせているヴィクトルの唇を僕の人差し指をそっとあてて塞ぐ。
「ちゃんときいて?ヴィクトル。それでね、放心状態だったんだけどそれから救ってくれたのはあなただったんだ。おかしいよね。視界にすら入れられてなくて落ち込んでたのに演技をみたらね、何かバカらしくなっちゃったよ。氷上で舞うあなたは昔みたいに絶対的な帝王で…美しく鋭かった。」
脳裏に浮かぶのはあの素晴らしい彼の演技。
まさかそれが内心余裕がなかったなんてわらえちゃうよ。
「そんなあなたがいるのに僕を見てもらえるかもって思ったのがまちがえだったよ。また同じ目線に舞台にたつ。その時の僕は土俵にすらあがってなかった。振り向いてくれないなら振り向かせれば良い。視界に入れてくれないなら入らざる終えなくすればいい。そうふっきれたんだよ。それから僕は僕に足りないものを得るための練習をはじめた。」
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