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じゅうしまつの事情8(完)
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【長め】
とある田舎の町の中。
«ブロロロロロロ……プシュー…»
じ『……ここに…あの子が…』
1人のマフィアが降り立った。
じ『歩けど歩けど、田んぼだらけっすね!動物さんも居ていい所っすねぇ…。』
のんびりと歩く。ひたすら、歩く。
ある場所を目指し…
じ『……ここ…っすね…』
目の前にある建物、それは…
じ『こんな所に建てたんすね……店員さん…。』
女『いらしゃ……!じゅ、「じゅうしまつ」君…?』
じ『お久しぶりっす…!』
花屋さんである。
女『…ごめんね、何も言わずに出て行っちゃって…助けて、くれたのに…。』
女の子は少し、申し訳ない様な自分に対する苛立ちの様な表情で言った。
じ『何か、事情があったんだよね?僕、気にしてないよ!こうして、君にまた会えたんすから…!』
こちらも少し泣きそうな表情で言った。
2人は、暫く黙ったまま、うつむきあった。
二人『あ、あの…!……あ。』
じ『そ、そちらからどうぞ!』
女『いえ!「じゅうしまつ」君から…!』
沈黙…
じ『じ、じゃあ、僕から……その、僕は君がまた花屋さんをやってて凄く嬉しいよ。君の安否も確認出来て…とても安心したんだ。生きていてくれてありがとう…店員さん…。』
泣きそうな…と言うか、泣いた。感情に流されてはいけないマフィアである彼が、泣きながら女の子に感謝を述べた。
女『そんな…!私が生きていられるのも「じゅうしまつ」君が助けてくれたからだよ…私こそ…遅くなっちゃったけど…助けてくれてありがとう…。』
そんな彼女もまた彼に感謝を述べる。お互い、言いたかった事を少しずつ少しずつと話していく。
女『でも、「じゅうしまつ」君がマフィアさんだったなんて、すこし信じられないなぁ…w』
じ『うっ…黙っててすいやせん…知っても嫌なものだと思って…。』
女『そんな!私が嫌なのは、借金を作らされたマフィアであって、「じゅうしまつ」君達じゃないよ!それに、あんなに体を張って助けてくれた人を嫌いになんてなれないよ…(クスッ)』
男は、照れくさそうに笑う。
それから、一番聞きたかった事を口にした。
じ『………その…なんで、あの場所じゃなくて此処に店を構えたんすか…?』
彼女は少し言いにくそうな顔をしたがボソボソと語った。
女『本当は…本当はね…?あの場所に戻りたかったの…でも、いざあの場所に行こうとすると足がすくんで、前に進めなくて…また、あいつらが居るんじゃないかとか…変な噂がたっていたらどうしようとか…そんな事しか考えられなくて…それでね…逃げちゃったの…………私…ダメだね、意気地無しだ。決意なんて無くて、怖くて逃げ出して…なんで、また花屋なんてやってるんだろう…。あの場所じゃない、ここで。』
俯いて顔を伏せている為、表情は分からないが、声が少し震えていた。そんな彼女に彼は何も言えなくて、思わず、前から彼女の体を覆った。(言うところの…ハグである。)
じ『…!?、あ、ご…ごめん!その…なんか君が消えちゃうような気がして…つい…。
でも!!君は意気地無しなんかじゃないよ!またここで花屋さんをしてるんすよ!?あんな怖い事があった後で…笑顔で人と接しれているんすよ…そんなの、意気地無しの人には出来ないことで…だから、その…!』
彼女は彼の腕を振り払う事も、叫ぶ事も、言葉を遮る事もしなかった。
ただただ、じっと静かに話を聴きながら、涙を流した。
女『うん…うん……ありがとう…「じゅうしまつ」君……ありがとう…。』
じ『そ、それじゃあ…。今日はなんかごめんっす…色々と…/////』
女『ううん、こちらこそ…/////』
あの後、2人でハグした状態で号泣。2人とも落ち着いた時にはもう、日が沈みかけていた。
時間も時間なので、男は帰ることにした。
«ブロロロロロロ…プシュー…»
『次は〜…〇〇駅ぃ〜…〇〇駅ぃ〜…。お乗りのお客様は……』
じ『じゃ、僕、これに乗らないと…。また、来てもいいっすか…?』
女『うん。全然構わないよ、またね…「じゅうしまつ」君。』
男がバスに乗った時、ある事を思い出した。
じ『そう言えば…!君の名前なんて言うの…!!』
バスが動き出した時に、彼女が叫ぶ。
女『私の名前はね……………!!!』
じ『!…ありが特大サヨナラホームラン!!!!!!絶対!絶対忘れないっす!!また会おうね!…………ちゃん!!』
そうして、彼の一つの物語が終わった。これからも続く彼と彼女の物語は、また次の機会に…
Fin
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