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ラニアン襲来-7
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地下にあるこの部屋は、暑さはそう苦にならない。
来る時にコンビニで買ったペットボトルの麦茶はまだ開封していないから水分にも不自由しない。
だけど、食料がない。あとトイレも困る。
(何かないかなー)
飴かチョコでも入っていないかと鞄を開いて目に入ったのは真新しいクリアファイル。
漣人の好きなアニメのキャラクターが描かれたそれはさっきのコンビニで律耶から貰ったものだ。
おにぎりを2個買うと貰える景品をじっと見ていた漣人をこれまたじっと見ていた律耶が、漣人の麦茶と一緒に会計をしてコンビニの袋ごと手渡してくれた。
(もしかして)
僅かな期待を込めて袋を覗き込む。
「!」
コンビニのおにぎりがこれほど輝いて見えたことはない。それも漣人の好きな天むすとシャケだ。
(これで夜が越せる!!)
おにぎりが2個あるだけで何でこんなに心強いのか。
(おっにっぎりっ♪ おっにっぎりっ♪)
救世主おにぎり様をお手玉のようにポンポンやってたら、さっきまでの不安な気持ちは少し和らいで、何とかなるさーという気になってきた。
トイレがない問題は解決していないけど、行きたくなったらその時考えればいい。
(暇だー)
こうなると今一番の問題はこの退屈な時間だ。
スマホでゲームをして時間を潰そうと考えたけど、充電が心配で諦めた。
せめて本棚に詰まっている専門書がマンガだったらいいのに……と、面白味のなさそうな本のチョイスに溜め息をつく。
(あれ?)
何か読みやすい本の1冊や2冊でもないものかと背表紙を見ていて強烈な違和感に襲われた。
ここの本はおかしい。
レジュメを取りに来るようにとの指示が、明日の講義の担当講師が用意したものならばこの部屋にある図書は明日受ける講義に関連するものの筈だ。
だけど、本棚に並ぶ専門書は明日の講義とは全く接点を持たないものばかり。
それが何冊かだったらまだ講師の趣味だと考えられるが、全部が全部というのはありえない。
(最初から罠だったんだ)
この部屋にレジュメを取りに来たりしてはいけなかったのだ。
掲示板の前にあったメモも、漣人をここに閉じ込めた人物が撤去してしまっただろう。
背筋を冷たいものが走った。
そのうちに誰かが来てくれるだろうという望みが絶たれた今、お気楽な気持ちは吹っ飛んで自分の置かれた状況を痛感した。
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