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シマジロウ温泉-5
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「ただいまー」
ちょっとジュースを買いに出ただけのつもりがあまりに遅くなってしまった。
待ちくたびれているかと思ったら律耶はバラエティー番組を見ながら、冷蔵庫にあったビールを飲んでのんびりしていた。
「あ、お風呂入ったんですね。本こわ終わっちゃいましたか?」
「ああ」
「本こわどうでしたか?」
「あ、そうだ、本こわな。何かあのシミはただお茶溢したやつだったらしいぞ。紛らわしいな、ハハ」
ホテルの部屋で夜になると壁に浮かび上がるシミの正体は知ってしまうとがっかりだ。
「あんな所にお茶溢すやついるんですねー。どんくさ」
「そうだな、どんくせえな」
「先輩?」
何だか律耶の様子がおかしい気がして顔を覗き込んだら、逆に漣人のほうが意識させられてしまってドキッとする。
(う……)
風呂上がりで火照った身体の律耶は並々ならぬ色気を纏っている。
たった1学年しか違わないというのに、幼さ溢れる自分とのこの違いは何に起因するのだろうか。
いつもはきっちりと後ろに流している前髪が、はらりと垂れているのがとにかく色っぽい。
その前髪の先端から雫が一粒滴った。
よく見ると浴衣の肩の辺りにも水のシミが出来ている。
「もうー、ちゃんと拭かなかったんですか?」
だけど壁のシミが……と口を尖らせる律耶にタオルを押し付けると、まだブツブツ言いながらだけど頭をゴシゴシやっている。
恋人同士になる前は恐くてまともに目を合わせたことがなかったが、こうして改めて直視すると本当に格好いい。
凪だって物凄く綺麗なのだが、たおやかな凪とは対照的に律耶は男らしい凛々しさを具えていて、自分の全てを押さえつけて征服して貰いたい衝動に駆られる。
「お、お前は風呂入らないのか?」
「そ、そうですね」
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