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不可抗力ですから
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────────あれは、テツヤが成人式の時に起きたことだ。俺はテツヤのスーツ姿に舞い上がってたから、式の記憶は曖昧なんだけどな。……おい、誰だ。今冷めた目で見たやつ。出て来い、ぶん殴ってやる。チッ、脱線しちまったな。話を続ける。
見ても分かる通り、テツヤは可愛い。男にしては白すぎる肌にでっかい目、睫毛も長いからちっちぇ頃は、よく女の子と間違われたもんだ。
そんなテツヤが成人式をむかえるぐらい大きくなったもんだから、俺も嬉しくてよ。まだ二十歳になってないテツヤに酒を勧めちまったんだ。ただでさえ炭酸類が苦手なもんだからジョッキの半分もいかない内にべろべろに酔っ払った。そん時のテツヤは……その、………い、色っぽかったんだよ。っだから!冷めた目で見んな!ぶん殴んぞ!ってか、お前らも見たら分かる!まあそんな機会、俺が与えないけどな!!
とにかく、色っぽいテツヤは男女問わず、色んなやつの目を引いてたぜ。あん時は流石俺の息子!って誇らしかったけど、その後が大変だったんだ。確か─────夜の12時手前ぐらいか?テツヤとはぐれちまってよ…。俺も酔ってたもんだから頭が全然回んなくてな、とりあえず家に帰ったんだ。でも、家で待ってたリコと嫁さんに事情を説明してる内に段々と酔いが覚めてきた俺はとてつもなく焦った。そりゃあもう今までに無いくらいに。俺は、慌てて家を飛び出してテツヤを探しまくった。二人にはテツヤが帰ってきた時のために、家に居てもらったけどな。夜だから、危ねぇし。
俺達が飲んでた繁華街をしらみつぶしに探したけど全く見つかんなくて、朝になった。家にも帰ってねぇみたいだから警察に届けようとした時、前方から見覚えのある水色が歩いてきたんだ。テツヤだ!と思って駆け寄ったら、俺を見たとたん抱き着いてよ。なんか怒る気も失せて、抱きしめ返した。いい匂いするな、同じ柔軟剤使ってんのに何でだ?とか考えてたらテツヤから泣き声が聞こえてさすがに焦ったぜ。訳を聞くとテツヤはぽつぽつ話し始めた。掻い摘んで話すとグハッ………っテツヤ!なにしやがる!
――――――――――――――――――――――――――――――
「すみません皆さん。父が言ったことは忘れてください」
ぼうっとしていたテツヤが、気を取り戻した。イグナイトをくらった景虎は無視して、部員達に謝る。
「先生、続きは聞かせてもらえないんでしょうか…?」
あそこまで聞かされると、最後まで聞きたくなる。そんな部員の気持ちを代弁したように伊月が尋ねる。
「続きなんてありませんよ。アレは不可抗力ですから」
ふふ、とテツヤは笑みをこぼす。話が噛み合っていない気がするが、テツヤの黒い笑みに誰もつっこむことが出来なかった。
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