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【凜side】
「…んっ…」
あれ…?どこだここ…?
白くて…明るい天井…
「…あ…」
母ちゃん…?
ソナと…ヒイラギノイルも…
寝てるけど…
「……ちゃん…」
あれ…?
声出てんのか?これ…
あんま…聞こえない…
「凜ちゃんっ!?目が覚めたのっ!?大丈夫っ!?」
「…え…?」
あぁ…そうか…
俺…兄ちゃんと電話してて…
「…ぅッ…」
「おい、どうした?」
「凜、どこか痛いの?」
「……でも…ない…」
「何でもないワケないだろ。」
「…ッ…く…」
「アンタ…兄貴と電話してる時泣いてたじゃねーか。」
「凜ちゃん…何があったのか話して?突発性難聴って…ストレスが原因だろうってお医者さんが…」
「…大丈夫…だから…」
「……」
「…少し…一人にして欲しい…」
「…分かったわ。ソナちゃん、ノイルちゃん…」
「…はい…」
「……」
――ガチャ…パタン
「…はぁ…」
なんで涙が出るんだろ…?
もう…全部終わったのに。
何も…ないのに…
あ…ケータイ…
着信…母ちゃんと父ちゃんと…
はは…あるワケないか。
どうでもいいって…自分で言ったんじゃねーか…
そうだよ…
もう…どうでもいいんだ…
このまま病院を出て…今までの生活に戻って…
戻ったら…
きっと…今まで通り…
「凜。」
「…っ…?」
あれ…?
ドアが開いた音…聞こえなかったのに…
――ぎゅっ…
「…兄…ちゃん…?」
「…ッ……く…っ…」
嘘だ…
こんなの幻だ。
夢に…決まってる…
意地悪だな…神様は…
「…凜…」
「……」
あぁ…ほら。
やっぱりこれは夢だ。
だって…兄ちゃんが泣くはず…
「…悪かった…こんな兄貴で…」
「…えっ…?」
「…何度も弟の前で泣いて……ッ…最低だ…」
「…兄…ちゃん…?」
「…っ…?」
「…なんで…ここにいるの…?」
「…それは…お前が…」
「…なんで…俺の夢に出て来んの…?」
「…凜…夢じゃない。俺は…」
「…出てけ。」
――ドンッ
「…っ…」
――バサッ
早く目覚めなきゃ。
こんな幸せな夢…二度と見れないかも知れないけど…
布団にもぐって、少しじっとしてたら。
きっと…夢から醒めて…
『凜…俺はここにいる。出てきてくれ。』
「…いやだ…早く出てって…」
『…昨日向こうを発って、さっきこっちに着いたばかりだ。夢じゃない。凜…』
「出てけッつってんだろッ!」
『…っ…』
「…もうこれ以上…俺を…っ……ぐちゃぐちゃに……するなぁ…ッ……」
『あぁ、しない。』
――バサッ!
「…やッ…!?」
「だから…俺を現実だと認めてくれ。」
「…ッ…ぅっ…嫌だ…」
「兄とは認めてくれなくてもいい…俺を恋人だと認めてくれ。」
「…っ…いや……だって…」
「…俺は…」
「…ひ…ッ…うぅ…っ…」
「…お前がいないと…生きていけない…」
「…ッ…なん…で…」
「……」
「…だったらなんで……俺を…ッ…置いて…っ…」
「一生お前の側にいる為だ。」
「…えっ…?」
「今はまだ理由は話せないが…俺は大学を卒業するまで向こうで暮らす。」
「…は…?…なに…それ…」
「大学を卒業したら、親父の会社に入って跡を継ぐ。」
「…結局…俺は一人かよ…」
「卒業したら迎えに来る。」
「…勝手な事言ってんな。俺だって…やりたい事の一つや二つ…」
「…凜…」
「…っ…なんだよ…」
「やりたい事があるなら、俺が大学を卒業するまでに済ませておけ。俺が大学卒業後にお前を向こうに連れて帰る事は、既に決定事項だ。変更はあり得ない。」
「…は…?だから…何勝手に…」
「お前は俺のものだ。」
「…っ…」
「それはどちらかが死んでも変わらない。」
「……怖えーよっ…」
「…あぁ…そうだな。自分でも時々怖くなる。俺は…いつかお前を殺すんじゃないかと…」
「…そんなに好きなら…黙って置いてくなよな…」
「お前には充分気持ちを伝えたつもりだったが…まだ足りなかったか。」
「…まだ…っつーか分かりにくいし…つか……全然足りねー…」
「愛してる。」
「…っ…」
「俺の人生をかけて。」
「…ッ…バカ…じゃん…」
「…俺が馬鹿なら」
「世の中の奴らはほとんどクズ、だろ?」
「…フッ…」
「…ほんと…その通りかもな…」
――ガチャ
「そろそろ終わったかー?」
「…父ちゃんっ!?」
「凜…大丈夫か?」
「…うん…」
「親父、もう少し二人にしてくれ。」
「…凜が退院して落ち着くまでこっちにおったらええやん。その間にゆっくり話せぇ。とりあえず皆さんに顔見せなあかんやろ。」
「…みんなって…?」
「今呼んでくるわ。」
――パタン
「聞こえ方はどうだ?」
「…ちょっと聞こえにくいけど…平気…」
「…凜…」
「…ん…?」
「黙って行って悪かった。」
「…なんで…」
「…お前の泣き顔を見たら、決心が揺らぐと思った。…こんな事になるくらいなら…」
「…電話も…してくんなかった…」
「お前の声を聞いたら帰りたくなるからだ。」
「…そんなの…勝手すぎるだろ…っ…」
「あぁ…そうだな。」
「…なんであんな…ヒイラギとか…家に…」
「お前を一人で住まわせておく訳にはいかないだろ。」
「…は?だからって…」
「それがあいつにとっての仕事なんだ。」
「…仕事…?」
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