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運命の契りを
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農民に紛れるようにして俺は粗末な身なりで村を歩いた。
ここへ来たのは最近のこと。
農民は見かけない顔の『人間』の面を興味深く眺めてゆく。
この感覚にも慣れてしまった。
いろんな所を転々としているので行く先々でこうして注目の的となる。
歩いていると、その道中いろんな声が聞こえてくる。
商売人の客寄せから始まり、女の井戸端会議、噂話。
その中にこんな話があった。
<***>
「なぁ、お前さん知っとるか。」
「何をだよ。」
「最近日照り続きじゃろ?」
「ああ。干ばつでえらいことになっちょる。」
「それがなぁ、見つかったらしいよ、『アレ』。」
「本当か!そうかそうか!よかった、これであの凶作から逃れられるんじゃの。」
「感謝せんといかんの。『アレ』に。」
「お前さん、『アレ』は要らん存在じゃ。『アレ』の存在理由が果たせるんじゃ、『アレ』も喜んどるじゃろう。」
「そうか、そうじゃのう。」
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「・・・。あの・・・。」
「うん?なんだい?」
「あの、なにが見つかったんですか?」
「へ?あ、ああ!『アレ』かい?」
「鬼さ。」
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