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運命の契りを
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「ひどく色白なんだな。」
「ああ・・・某は長い間幽閉されておりましたから。」
「・・・そっか。」
色白で、髪は赤みがかった茶色。そしてとても美しい、紅みがかった瞳。
人と変わりない、むしろ人よりも優れた容姿。
どこがどう鬼なのか、俺には理解できなかった。
「其方は・・・いえ、なんでもありませぬ。」
「どうして化け物だ、なんて言ったか?」
「!!・・・お見通しでございまするか。」
「・・・俺様ね、生まれた時から感情的になると、目の色がさ、その名の通り変わるんだよ。」
そういうと、『鬼童』(おにわらべ)は俺の目を覗き込んでくる。
「綺麗な眼でございまするな。鳶(とび)の色。」
「緑に光るんだよ。それで、瞳が縦に割れる。」
「・・・苦労なさいましたか?」
「まあね。子供も大人も言いたい放題。子供だし怒るじゃん。そしたら目が光って、泣けば瞳が割れて。つい三秒前まで仲の良かった友達は皆離れていった。」
「・・・。」
「俺様の親もね。俺が変な子供なんだって分かったとたんに、俺を捨てて逃げた。」
「・・・。」
「辛くて悲しくて。でも、そう思えば思うほど目は光って割れてゆく。だから、俺様は感情を消すことにしたのさ。」
「・・・。」
「そしたら、あら不思議!!みんな俺様を化け物だなんて・・・言わなく、なって・・・。ああ・・・簡単なことだなって・・・そう、思って・・・。」
「泣きたければ泣けばいい。ほら、化け物などではないではないか。」
「!!」
「某からすれば、それだけの理由で其方を捨てた親や周りの者のほうが化け物だと思うが・・・そもそも・・・で・・・」
鬼童はそのあとも熱心に憤慨した様子で話していたがもうそれ以上聞こえなかった。
それだけで充分だった。
自分を思ってくれている、自分を化け物ではないと言ってくれる。
「・・・だから、其方は誰よりも人だ。」
人だと言ってくれる。
それだけで・・・。
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