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嘘つき
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もう、随分と時が流れた。
佐助もいい歳になり、かつてのように忍術や体術が思うように揮えなくなった。
最近は、布団から出ることも儘ならなくなっていた。
「お互い、随分老けたもんだな。」
「・・・そうだね。でも、俺はまだ生き続けるんだ。旦那の為にも、さ。」
「・・・ああ、そうだな。」
独眼竜、伊達政宗。
今は世代を譲り、残りの生涯を楽しむために田舎でのんびりと残りの時を過ごしていた。
未だ戦国だというのに、ここにはそんなものは存在しないかのように
まったく違う世界が展開されているようだった。
「まあ、出来ればさあ。」
「Ah?」
「戦場で死にたかったなあって思うんだよね。というか、旦那の傍で?」
「お前と意見が一致するなんてな。」
「生憎、俺様には武士の魂なんてないけど、旦那の傍で死ねるってすごい俺様にとっての誇りなんだと思うんだよね。」
「そう、だな。」
「このまま、歳を重ねて死んでいくなんていうのが、何となく惜しい気がするんだよね。」
「でも、ま俺らには待つことしか出来ねえんだ。ゆっくり残りの時間を過ごすのも悪くねえと思うぜ。」
「そうだね。俺様達は少し生を急ぎすぎたのかもしれないね。」
「ゆっくり生きて、ゆっくり死のうぜ。」
「そだね。」
数日後、政宗と佐助は眠るように息を引き取った。
政宗の死を見送った小十郎も、後を追うように息を引き取った。
永遠の静寂が訪れたのである。
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