アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
例えばの存在意義
-
「ただいま、戻りました。」
主の前に傅く(かしずく)。
「・・・よく戻ったな。」
気のせいだろうか。
少し痩せたような気がする。
それに元気もないように見える。
「・・・あの・・・。」
「・・・どうした。」
「・・・いえ。何でも御座いません。」
俺が気にすることではないのだろうが。
「いつも、ちゃんと見ているのね。幸村様のこと。」
「・・・は。」
食堂で飯炊きをしていた人が、そう話しかけてきた。
「いえ、ね。幸村様、ここ最近あまりお元気でない様子で。そうしたら、あなたも元気なさそうだったから。」
そんなつもりまるでなかったのに。
忍びたる者、易々と内情を見せてはなるまいに。
「それにね、いつもはあんなにお食べになる甘味も、全然お口にしなくて・・・。」
「・・・そうですか。」
不思議なこともあるものだ。
何とも言えぬものを胸にしまい、俺は主のもとへ向かった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
100 / 226