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蝶散
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血の滴る身体を抱え、佐助は少しでも安全な所へと退く。
武田の指揮なんて言ってられない程に、錯乱していた。
「旦那!!だんなァ!!」
溢れそうになる涙を堪え、佐助は虫の息の幸村に応急処置を施す。
けれども幸村は弱ってゆくばかりだ。
「やるしか・・・ないか。」
佐助は唯一残された選択肢を選び取る。
それは
己と引き換えに・・・己の生命と引き換えに、どんな傷でも癒す禁術。
己の命を削り、その分を捧げるものだ。
もう、こうなってしまったら
己の命を全て捧げるしかないのだろうが。
「・・・やっと、らしいことが出来るね。」
佐助はそういうと、寂しそうに微笑んだ。
「お別れだね、旦那。」
ポタ。
堪えていた涙が一粒、幸村の頬に落ちた。
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